奴の分まで楽しんでやろうという目論見は果たせなかった。
何なんだ、このパーティは。
日本人二人組は
「疲れた」
「だるい」
と言いっぱなし。
ラフティングは、つまりゴムボート漕ぎだ。
どう考えても疲れるのを楽しむものだと思うのだが、何のつもりできたのだろう。
彼らは本来二日いるはずだったらしいが
「もういやだ」
とごねて夕食後チトワンに行ってしまった。
イタリア人はどうやら一夜のアバンチュールを期待していたらしい。
なんとこの俺を口説きだした。
最初から妙になれなれしく触る奴だったが、気のせいだろうと思っていた。
だが、着替えの時に俺の背中の傷をなぞりながら
「うん、いい体だ。楽しい夜になりそうだな」
と言われ、反射的に手が出てしまう。
だが結構な強さで殴ってしまったというのに、頬をさすりながら
「活きがいいな」
と嬉しそうにつぶやかれて鳥肌が立つ。
ガイドに
「俺は一人で眠りたい」
と申し出て、かなった時は嬉しかった。
今日は人数が少ないので、テントに余裕があるのだという。
ありがたい。
イタリア人は
「膝枕してくれ」
だの
「奇麗な瞳だね」
だのとうるさかったが、完全に無視していたら若いガイドにちょっかいを出し始めた。
だが年配のガイドがぴったりと寄り添っているから大丈夫だろう。
夜、眠れずに携帯を取り出す。
ふたを開けると明るい画面。
初期設定の変なペンギンが踊っている。
アドレス帳に入った二つの番号は、見なくても空で覚えている。
どちらにも掛けないけれど。
ピノコに電話するには遅いし、奴はきっと出ない。
そして俺は奴がどんな相手に仕事をするのかと気をもむに決まっている。
外に出て星空でも眺めようとしたが、あいにく厚い雲が垂れ込めていた。
あきらめて中に入り、懐中電灯を取り出してしばらく本を読みながら眠ってしまう。
異変を感じたのは、その一時間後。
異様な気配に目覚めると、