うとうとしていると、急ブレーキでつんのめった。

外には顔を隠して武装した男達。

まだ昼間なのに、と言うざわめきが広がる。

ここらへんのゲリラは、夜しか出ないんじゃなかったのか。

「全員おとなしく外に。抵抗しなければ危害は与えない」

と言う硬い声。

すでにこうやって通せんぼしているところが危害に当たるとは思わないらしい。

さて、彼らのいう「危害」とはどこからを指すのだろう。

他の乗客に混じってぞろぞろ降りる。

 

しまったな、と思う。

先日の礼金はほとんどを振り込んでもらったが、帰りのチケットを買うために現金を多めに持っていた。

手持ちの現金は最初からあきらめていたが、大金を持った人間として目をつけられてしまったらしい。

他の人たちは「通行代金」として一定の金を払い、人によっては領収証まで書いてもらってバスに戻れたと言うのに、俺だけ銃で脅され、立ち往生だ。

バスの上に上がった男があちこちのかばんをあけ、めぼしいものを取っていく。

俺のかばんの鍵を乱暴に壊され、思わず抗議しようとしたら

「それはお前のか」

と言われた。

「これ、医者かばんですぜ」

と言う声。

「悪いがあんたは付き合ってもらおう」

と言う声とともに後頭部を殴られ、目の前が暗転した。

 

気がつくと、俺はソファにもたれかかっていた。

頭が痛い。

うめいて頭をさすろうとしたが、手は後ろ手に縛られていた。

「気がついたかね」

と声がする。